風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)における「保全対象施設(旧・保護対象施設)」とは、青少年の健全育成や、入院患者の静穏な療養環境などを維持するために、その周辺において風俗営業を営むことが制限されている特定の施設を指します。風営法第4条第2項第2号に基づき、各都道府県の条例によって具体的な対象施設と、そこから離さなければならない制限距離が定められています。風俗営業の許可申請を行う際は、出店予定地の周囲にこれらの施設が存在しないかを事前に徹底して調査する「場所的要件」のクリアが必須となります。
この保全対象施設のうち、『学校』について解説をしたいと思います。
※東京都における業務経験に基づき執筆しています。手続きをされる際は必ずご自身で行政機関等に確認のうえ手続きを進めて下さい。
保全対象となる「学校」とは
風営法において保全対象施設となる「学校」とは、原則として学校教育法第1条に規定される学校(いわゆる一条校)に限定されます。具体的には、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校(高専)がこれに該当します。一方、実務上見落としやすい「専修学校(専門学校)」や「各種学校(予備校、語学学校、自動車教習所など)」は一条校ではないため、東京都の規定において保全対象施設には該当しません。
東京都における用途地域ごとの距離制限
東京都の条例および公安委員会規則では、風俗営業の店舗が所在する「用途地域」の区分と、学校の種類(大学かそれ以外か)によって、以下のように制限距離を定めています。
- 商業地域:大学を除く学校の敷地から50メートル以上、大学の敷地からは20メートル以上離す必要があります。
- 近隣商業地域:大学を除く学校の敷地から100メートル超、大学の敷地からは50メートル以上離す必要があります。
- その他の地域(準工業・工業地域など):学校(大学を含む)の敷地から100メートル超離す必要があります。
※なお、第一種・第二種住居地域など(一部例外を除く)の住居系地域は、そもそも風俗営業の出店自体が原則認められていません。また、工業地域、工業専用地域については建築基準法でキャバクラやナイトクラブの建築が制限されています。『その他の地域』で許可を取得することは現実的ではないため、『商業地域』または『近隣商業地域』にて物件を探すようにしましょう。
実務調査における重要な留意点
距離の測定基準は、学校の「校舎」ではなく、グラウンドや正門などを含む「学校の敷地境界線」となります。また、現在は休校中であっても正式に廃校されていない施設や、すでに開校が決定し「その用に供するものと決定した土地」も保全対象に含まれるため、調査業務は非常に緻密で根気のいる作業となります。手続きが順調に進むよう、事前調査はどうぞ慎重かつ丁寧にお進めください。
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