2020年4月1日より、改正後の健康増進法(通称・受動喫煙防止法)が完全施行され、飲食店においては「原則禁煙」となります。当事務所では、昨年末より喫煙について、多くの相談を受けてきました。
「小規模店舗であれば今までと変わらず喫煙可能とできる」
「従業員がいなければ禁煙にしなくてよい」
といった断片的な話は耳にしますが、具体的にどのような手続きをすれば喫煙可能とできるのか、きちんと把握している方は多くありませんでした。
こちらのページでは、小規模飲食店を対象とした「喫煙可能室」について詳しく解説したいと思います。
※2020年4月1日より施行される健康増進法および東京都受動喫煙防止条例の内容に限って解説をさせていただきます。その他自治体の条例によっては、解説と内容が変わる可能性がございます。ご了承ください。
喫煙可能室とは
喫煙可能室とは、経営規模が小さい事業者が運営する飲食店において、直ちに禁煙とすることが事業継続に影響を与える可能性が高いと考えられることから、一定の経過措置として設けられたものです。
分かりやすく内容を説明すると
小規模な店舗が設備基準を満たした喫煙ルームを数百万円かけて設置するのは厳しいだろうから、しばらくの間は今までと変わらずタバコを吸いながら飲食してもよいことにしよう。
その代わり、ルールとして、
- 保健所へ届出をすること
- 出入口に喫煙可能室の標識を掲げること
- 小規模店舗を証明する書類を保管すること
- 喫煙可能室には未成年者を立ち入らせない
以上を守ってね。という事になります。
喫煙可能室の設置
喫煙可能室は店内の一部に設置することもできますし、店内全てを喫煙可能室とすることもできます。
店内の一部を喫煙可能室とする場合は、喫煙可能室の中から外へ煙が流れないように、設備基準を満たす必要があります。設備基準は以下の通りです。
- 喫煙可能室の出入口において、室外から室内に流入する空気の気流が、0.2m毎秒以上であること
- たばこの煙が室内から室外に流入しないよう、壁、天井等によって区画されていること
- たばこの煙が屋外又は外部の場所に排気されていること
店内の一部を喫煙可能室にする場合はa~c全てを満たす必要がありますが、店内の全てを喫煙可能室にする場合はbの基準のみ満たせばよい事になっています。
下記の図では、店内の半分を喫煙可能室としているため、a~cの設備基準を満たす必要があります。
大型換気扇の設置や、外部に煙を流すためのダクトを設置する必要がでてきます。喫煙可能室には未成年者の立入りはできませんが、禁煙場所には未成年者が立ち入ることができます。
一方、店内の全てを喫煙可能室とする場合の基準「b.たばこの煙が室内から室外に流入しないよう、壁、天井等によって区画されていること」こちらについては、通常の店舗であれば問題なく満たしていると思います。
つまり、店内の全てを喫煙可能室とすれば、設備基準はほとんどの店舗においてクリアできることになります(ただし、未成年者は店内に立入りできなくなるので注意してください)。
喫煙可能室を設置するための条件
喫煙可能室が何なのかについて説明してきましたが、ここから先は、喫煙可能室を設置できるのはどのような飲食店なのか、説明をしていきます。
喫煙可能室を設置できる飲食店は、以下の全てに当てはまる店舗になります。
ご自身のお店が該当するか、確認してみてください。
- 2020年4月1日以前から営業している(保健所の営業許可書などで証明できること)
- 客席面積が100㎡以下である(届出時のチェックリストに実際の面積を記入する必要があります)
- 大規模会社(資本金の額又は出資総額が5千万円を超える)ではない。大規模会社が大株主となっていない。
- 従業員がいない(東京都条例)
A~Cについては全国共通の条件。Dについては東京都内の飲食店に該当する条件になります。
以上の条件全てに当てはまる店舗は、届出をすることによって店舗に喫煙可能室を設置することができます。
喫煙可能室設置の届出と必要書類の保管
上で説明した条件を満たす店舗は、喫煙可能室を設置することができますが、喫煙可能室を設置した場合には以下のことを守る必要があります。
1.喫煙可能室設置施設の届出
保健所へ、「喫煙可能室設置施設 届出書」を提出する。
また、東京都の場合は、従業員がいない旨の届出をする必要もあります。
2.必要書類の保管
喫煙可能室を設置した店舗は、以下の書類を保管しておく義務があります。
- 2020年4月1日以前に設置された飲食店であることがわかる書類
保健所の飲食店営業許可書など - 客席面積が100㎡以下であることがわかる書類(図面など)
厚生労働省や東京都の作成した資料を確認すると、店内の客席部分が100㎡以下とわかるような図面などを保管するようにと書かれています。
店舗の全体面積が100㎡未満で、賃貸借契約書などで面積が確認できる場合は、図面の作成保管までは不要と思われます。全体面積が100㎡を超える場合は、客席(客が飲食に利用する部分の面積)が100㎡以下であることを証明するために客席部分の測量図等を作成し、証明する必要があります。 - 中小企業または個人経営であることがわかる書類
資本金額や出資総額が記載された登記簿、貸借対照表、決算書など - 従業員がいないことがわかる書類(東京都)
確定申告書、住民票(同居親族の確認) ※該当店舗で働いている同居家族は、従業員にはなりません
1.3.4.の書類は問題なく揃えられると思いますが、2.の「図面など」に関しては、作成しない限り用意できない店舗も多いと思います。
3.標識の掲示
店内の一部を喫煙可能室とした場合は、店舗入り口に「喫煙可能室設置施設」の標識を掲示し、喫煙可能室の入り口に「喫煙可能室」の標識を掲示する必要があります。
店舗の全部を喫煙可能室とする場合は、店舗入り口に「喫煙可能店」の標識のみを掲示します。
4.未成年者の立入り制限
喫煙可能室には未成年者が立ち入ることができません。
店内全部を喫煙可能室とする場合、お酒メインのバーやスナックなどは影響がないでしょうが、喫茶店やレストランなどは注意が必要です。お客さん、従業員、共に未成年者の立入りは不可です。
5.広告等への明示義務
店舗の営業について、広告や宣伝をするときは、喫煙可能室を設置していることを明らかにする義務があります。
以上が喫煙可能室についての説明になります。
喫煙可能室の条件を満たさない店舗については、「喫煙目的室」の設置を検討してみましょう。
喫煙目的室については、当事務所で設置のサポートを行っています。
サポート業務の流れを記事にしています。こちらのページをご覧ください。
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