飲食店を開業するためには、飲食店営業許可が必須です。しかし、実際には「必要書類が多い」「設備基準が複雑」「保健所とのやり取りが大変」といった理由で、申請に苦労する事業者が少なくありません。
本記事では、行政手続きに精通した行政書士の立場から、飲食店営業許可の要件、必要書類、申請手順、審査ポイント、最短で許可を得るコツまで、初心者にも分かりやすくまとめました。
これから開業を予定している方、申請をスムーズに進めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

1. 飲食店営業許可とは?|食品衛生法に基づく必須の許認可
飲食店営業許可は、食品衛生法に基づいて各自治体の保健所が行う許認可です。
料理を提供するすべての店舗が対象となり、以下のような業態にも適用されます。
レストラン・カフェ(酒類を提供し、午前0時以降も営業する場合は深夜営業届出も必要)
居酒屋・バー(午前0時以降も営業する場合は深夜営業届出も必要)
キャバクラ・ホストクラブ(風俗営業許可も必要)
テイクアウト店
移動販売(キッチンカー)
無許可営業は重い行政処分の対象になるため、開業前に必ず手続きを済ませましょう。
2. 飲食店営業許可の取得に必要な3つの条件
飲食店営業許可を取得するには、主に次の3つが必須です。
(1)食品衛生責任者を設置すること
店舗ごとに最低1名の食品衛生責任者が必要です。
資格取得は、以下のいずれかで充足します。
食品衛生責任者養成講習(1日受講)
栄養士・調理師など特定の資格保有者
※保健所への申請手続きまでに衛生責任者の許可取得が間に合わない場合は、「誓約書」を提出する事で申請手続きを進めることができます。保健所窓口でご相談ください。
(2)厨房設備が保健所基準を満たしていること
代表例は以下です。
床・壁・天井が清掃しやすい構造である
必要な大きさ及び数のシンクがある
調理場内に手洗い設備がある(レバー式・自動式で手のひらを使わずに操作できる必要があります)
食品保管庫、冷蔵・冷凍設備がある
排水設備が適切である
調理場と客室の境にスゥイングドア等の扉がある
- 従業員の使用するトイレおよびトイレ専用の手洗い器がある
内装工事前に図面を見せて事前相談することで、後からの改修を避けられます。
(3)水質検査の証明書(井戸水などの場合)
上水道の場合は不要ですが、井戸水や専用水道の場合は水質検査の提出が求められます。
3. 必要書類一覧|開業前に揃えておきたい書類
飲食店営業許可申請には一般的に以下の書類が必要です。
飲食店営業許可申請書 申請書書き方の例 東京都作成PDFデータのリンクです
店舗の平面図・設備図
水質検査成績書(井戸水の場合)
食品衛生責任者の資格証明書
登記事項証明書(法人の場合)
自治体によって必要書類が若干異なる(平面図が2部必要という自治体もあります)ため、必ず事前に保健所へ確認しましょう。
4. 飲食店営業許可の申請手順|最短ルートを解説
以下は最もスムーズな申請ルートです。
STEP1:保健所への事前相談(必須)
内装工事の前に、図面を持参して保健所へ相談するとトラブルが減ります。「工事後に基準を満たしていないことが発覚」する事例は非常に多いです。
※自治体Aではカウンターの「跳ね上げ扉」で許可が下りるが、自治体Bでは「跳ね上げ扉」では不可。「スウィングドア必須」という事もあります。
STEP2:食品衛生責任者の資格取得
講習は早めの予約が必須です。
開業者が集中する春〜夏は特に埋まりやすいため注意しましょう。
※申請時までに資格取得が間に合わない場合は、誓約書を提出する事で許可申請が可能です。保健所窓口にてご相談ください。
STEP3:申請書類の提出
必要書類をそろえて保健所に申請します。
申請手数料の目安は 16,000〜20,000円前後(自治体で異なる)。
※東京23区の場合は18,300円(港区のみ16,000円)
STEP4:施設検査(立入検査)
保健所の検査官が店舗を訪問し、設備が基準を満たしているか確認します。
※検査に合格した場合は検査翌日より営業可能となる場合が多いです。検査官に確認しておきましょう。
STEP5:営業許可証の交付
検査合格後、数日〜1週間ほどで許可証が発行されます。
5. 許可取得がスムーズな店舗の特徴 審査ポイント
保健所が特に注意して見るポイントは以下です。
シンクの数が適切か(料理をする場合は2槽以上が必須)
食器と食材の動線に衛生上問題がないか
手洗い設備が必要数設置されているか
換気や排水が適切に処理されるか
ねずみ・虫の侵入対策が取られているか
食品保管庫の温度管理が可能か
特に多いトラブルはシンク数不足と手洗い場の位置不適合です。
6. 行政書士に依頼するメリット 開業準備の時間を節約できる
飲食店営業許可は、正しい手順を踏めば取得できますが、以下のようなメリットから行政書士への依頼も検討する価値があります。
書類作成・保健所調整を全て任せられる
設備基準を満たすための具体的な助言が得られる
開業スケジュール管理ができる
「深夜酒類提供届」など関連手続きもまとめて依頼できる
内装工事前に不備を指摘してもらえる
開業準備に集中できるため、特に初めての飲食店開業者様からの依頼が多い申請です。
7. まとめ|飲食店営業許可は準備がすべて
飲食店営業許可は、
「事前相談 → 資格取得 → 書類準備 → 検査対応」
の流れを押さえれば確実に取得できます。
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